ダウン症のある成人の健康改善へ 診療ガイドラインの日本語訳を公開

後藤一也
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 米グローバルダウン症財団と日本ダウン症学会は29日、成人期のダウン症候群診療ガイドラインの日本語版を公開した。医師用と家族用の2種類がある。ダウン症候群のある成人の健康を改善するためのガイドラインとして、同学会は「広く使ってほしい」と呼びかける。

 ダウン症は21番染色体が3本ある遺伝性疾患で、ダウン症のある人は日本に約8万人、生まれてくる赤ちゃんの約500人に1人とされている。

 生まれてくる子の約半数が生まれつきの心疾患があり、1980年代までは寿命は20歳程度だったが、医療の発達などで、現在は60歳とされている。

 寿命がのびたことに伴って課題となってきたのが、小児科から成人の診療科への移行だった。

 ダウン症のある成人は、糖尿病骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、認知症など、ダウン症でない人と比べてかかりやすい特定の病気がいくつかある。だが、小児科の医師では成人の病気に対応できないことがある。

 米国では、2020年に初めてダウン症の成人期診療ガイドラインの医学論文が公開され、それをもとに、21年に米グローバルダウン症財団がガイドラインを公開した。

 日本ダウン症学会も、財団と協議し、ガイドラインの日本語訳(翻訳プロジェクトリーダー・東京慈恵会医科大病院遺伝診療部の竹内千仙(ちせん)医師)をつくることになった。

 ガイドラインは、①行動・心の状態の変化②認知症③糖尿病④心・循環器系⑤肥満症⑥首のほねのゆるみ⑦骨粗鬆症⑧甲状腺疾患⑨セリアック病、といった医療的な項目について、推奨される検査や対応をまとめた。

 今後も、睡眠時無呼吸症候群やがん、視力障害などの項目を増やしていくという。

 国内ではこれまで、成人期のダウン症のガイドラインや指針がなく、現場の医師がそれぞれ判断していた。

 そのため、日本ダウン症学会は小児科から成人の診療科へ移行するための支援ガイドをつくっていた。今回のガイドラインの公開で、さらに科学的根拠にもとづく判断が可能となるという。

 ガイドラインは日本ダウン症学会のウェブサイト(https://japandownsyndromeassociation.org/adult-ds-guideline/別ウインドウで開きます)からダウンロードできる。(後藤一也)

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