知床観光船事故、再発防止へ66項目 「現実味あるのか」の声も

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角詠之 古城博隆 中沢滋人 長谷川潤 平岡春人
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 北海道・知床半島沖で4月、観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故を受け、国土交通省の有識者検討委員会が22日、再発防止策をまとめた。ドライブレコーダーの設置や、寒冷地を航行する船への救命いかだの搭載など66項目が盛り込まれた。国の運輸安全委員会が事故の経過報告書で指摘した、ハッチなどの安全基準については、別の有識者会議で改めて議論するという。

 検討委は5月から10回にわたって再発防止策を議論し、「旅客船の総合的な安全・安心対策」として取りまとめた。今後も毎年会議を開いて対策を更新する。

 水温10度未満の水域などを航行する船については、救命いかだの搭載を義務化する。録画した映像を教育や訓練に役立てることを目的に、ドライブレコーダーの設置も義務づける。

 また、行政処分の種類に船舶の使用停止を新たに設けるほか、安全確保命令に違反した際に、懲役刑に代わって新設される拘禁刑を導入する。2025年度には運航に関わる責任者に試験を導入し、2年ごとの更新制とする。

 事故をめぐっては、原因を調査してきた国の運輸安全委が15日、経過報告書を公表。悪天候の際に停泊する「避難港」の活用を求めたことを受け、運航事業者に避難港の確認を行い、国にその結果を確認することも求めた。

 経過報告書では、カズワンの船首のハッチに不具合があり、海水が流入した可能性が指摘された。事故3日前、国交省所管の日本小型船舶検査機構(JCI)が検査していたが、国交省によると、目視検査のみで「異常なし」と判断されたという。検討委は、ふたの作動確認を実施することを求めることも決めた。JCIの担当者は「いただいたご意見を重く受け止めて対応したい」と話した。(角詠之、古城博隆、中沢滋人、長谷川潤、平岡春人)

国の有識者会議で取りまとめられた再発防止策。記事の後半では旅客船業者や乗客の家族に思いを聞きました。家族の帰りを待つ男性は「事故が起きてからでは遅いんです」と思いを語ってくれました。

 公表された安全対策は、どう…

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