第9回「正面から義務化の議論を」 マイナカード、ポイントで拭えぬ不信感

有料記事マイナンバーカード ここが気になる

聞き手・女屋泰之
[PR]

 マイナンバーカードの普及について、政府に「正面から取得の義務化の議論を」と呼びかけるのが武蔵大学の庄司昌彦教授です。マイナンバー制度に携わってきた庄司教授は、制度のそもそもの意義が国民に忘れられてきていると懸念します。それは、かつて世間を騒がせた「消えた年金記録」問題から学んだ教訓です。義務化が必要だと思うのはなぜか、その理由をひもときます。

 ――現行の健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化する政府の方針についてどのように考えますか。

 「私は行政などのデジタル化を進めるために、マイナンバー制度のさらなる活用とマイナンバーカードの普及を進めるべきだという立場です。この観点から、保険証をマイナンバーカードに一本化することは、カードの普及につながるので基本的には賛同します」

政府は2024年秋に現在の健康保険証を廃止し、「マイナ保険証」としてマイナンバーカードに一本化する方針を打ち出しました。カード取得を「任意」から「事実上の義務化」に切り替えたと言えます。唐突な政府の方針転換に問題はないのか。有識者らに話を聞きました。

 ――そもそもマイナンバーカード普及の意義とは。

 「行政の効率化の面で大きな…

この記事は有料記事です。残り2139文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    曽我部真裕
    (京都大学大学院法学研究科教授)
    2023年1月13日12時33分 投稿
    【視点】

     庄司先生のお立場に基本的に賛成します。  マイナンバーあるいはマイナンバーカードに関する議論では、プライバシーに対する懸念があまりにも強調されすぎており、そこから得られる(はず)の便益があまりにも過小評価されていると感じます。いわば、国

    …続きを読む