第9回「正面から義務化の議論を」 マイナカード、ポイントで拭えぬ不信感
マイナンバーカードの普及について、政府に「正面から取得の義務化の議論を」と呼びかけるのが武蔵大学の庄司昌彦教授です。マイナンバー制度に携わってきた庄司教授は、制度のそもそもの意義が国民に忘れられてきていると懸念します。それは、かつて世間を騒がせた「消えた年金記録」問題から学んだ教訓です。義務化が必要だと思うのはなぜか、その理由をひもときます。
――現行の健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化する政府の方針についてどのように考えますか。
「私は行政などのデジタル化を進めるために、マイナンバー制度のさらなる活用とマイナンバーカードの普及を進めるべきだという立場です。この観点から、保険証をマイナンバーカードに一本化することは、カードの普及につながるので基本的には賛同します」
政府は2024年秋に現在の健康保険証を廃止し、「マイナ保険証」としてマイナンバーカードに一本化する方針を打ち出しました。カード取得を「任意」から「事実上の義務化」に切り替えたと言えます。唐突な政府の方針転換に問題はないのか。有識者らに話を聞きました。
――そもそもマイナンバーカード普及の意義とは。
「行政の効率化の面で大きな…
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- 【視点】
庄司先生のお立場に基本的に賛成します。 マイナンバーあるいはマイナンバーカードに関する議論では、プライバシーに対する懸念があまりにも強調されすぎており、そこから得られる(はず)の便益があまりにも過小評価されていると感じます。いわば、国
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