「数字で語られるのはつらい」 笹子トンネル事故10年、遺族の苦悩

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池田拓哉
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 9人が亡くなった山梨県大月市の中央道笹子トンネル天井板崩落事故から2日で10年が過ぎた。現場近くであった慰霊式に参列した遺族からは、トンネルを管理する中日本高速道路名古屋市)に原因のさらなる追究を求める声が相次いだ。「丁寧に説明する」と繰り返す同社との溝は埋まらぬままだ。

 「10年という時の流れの中で犠牲者は『9人』という数字にくくられるようになり、残された家族にとって単なる数字で語られるのはつらいものでした」

 松本玲さん(当時28)の母、和代さん(71)は苦悩を打ち明けた。「(事故前、天井の最頂部にあるボルトの)打音検査をしなかったのはなぜか」などと疑問を投げかけ、「事故を問い続けることが再び犠牲者を出さない社会にする第一歩」と訴えた。

 慰霊式で追悼の言葉を述べたほかの遺族5人も一様に、原因究明に対する同社の姿勢を問題視した。「なぜ危険な天井板が放置されたのか」という維持管理の問題について、詳細な説明が得られていないとの思いを遺族は抱いている。

「彼らの魂を休ませてください」

 小林洋平さん(当時27)の…

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