第11回この生きづらさ、どこから 「男性の方が弱者」の主張に多賀太さんは

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 男性の「しんどさ」「生きづらさ」が近年語られるようになった背景に何があるのか。男性たちはジェンダー問題とどう向き合えばいいのか。ジェンダー論を研究する多賀太・関西大教授に話を聞きました。

 男性の「生きづらさ」が近年語られるようになったのは、ジェンダー問題を「自分ごと」として考え始めたことが背景にあると思います。

 女性がジェンダーの不平等に異議を申し立て、以前に比べると、政府も社会も、職場などでの女性の地位向上をより進めてきました。従来の性別役割分業かつ男性優位の社会から、徐々に男女平等の社会へ変わる過渡期だからこそ、価値観の板挟みになっている男性も多い。

旧態依然の「稼ぎ手」の役割

 たとえば、自分もパートナーも共働きしながら家事や育児を一緒に、という考えなのに、職場では旧態依然とした「稼ぎ手」の役割を求められ、期待されているような例もある。古いジェンダーの規範と新しい価値観の間で揺れています。

 男性の生きづらさが語られる中で、「今では男性の方が弱者」という主張をネット上でみかけます。

 しかし、これは極論です。

 男性の生きづらさは、無理や…

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    真鍋弘樹
    (朝日新聞フォーラム編集長=社会、国際)
    2022年12月4日15時20分 投稿
    【視点】

    このインタビューでもっとも大切なのは、以下の部分だと思います。 「『つらい』という声、その根っこが女性を苦しめているものと実は同じところにあるんだよ、と理解したうえで、性別を問わず、ともにジェンダー平等へと社会を推し進める」 ジェン

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Think Gender

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男女格差が主要先進国で最下位の日本。この社会で生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。性別に関係なく平等に機会があり、だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダー〈社会的・文化的に作られた性差〉について、一緒に考えませんか。[もっと見る]

連載「男性を生きづらい」を考える(全15回)

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