土砂災害警戒情報「空振り」減ります 発表基準のハードルを変更
大雨による土砂災害の危険性を伝える「土砂災害警戒情報」などの発表基準が24日、長崎県内で7年ぶりに変更される。過去の雨量や土砂災害のデータを反映し、発表のハードルが高くなる。従来より空振りが減り、的中率は上がる見込みだが、発表があった場合の危険度は高くなり、速やかな避難が重要になる。
大雨の防災情報は、警戒度の低い順に注意報、警報、土砂災害警戒情報、大雨特別警報などがある。中でも土砂災害警戒情報は、市町の避難指示や住民の自主避難の参考として県と長崎地方気象台が発表する。現時点で地中にたまっている水の量を示す「土壌雨量指数」と60分間の積算雨量を発表の基準に定めている。
この基準を7年ぶりに変更した。基準を設定する範囲を5キロ四方ごとから1キロ四方ごとに細分化。2006~20年の雨量データや土砂災害の危険度などを盛り込み更新した。その結果、大雨の注意報と警報、土砂災害警戒情報の新基準は県内全域で高くなった。
今後の発表はどう変わるのか。
気象台によると現在、土砂災害警戒情報の発表に対して実際に災害が発生した「的中率」は1割ほど。空振りが多いのが課題となっている。基準が上がったことで、土砂災害警戒情報や警報の発表頻度は減り、的中率が上がると見込まれる。
17日に会見した気象台の田代知二・土砂災害気象官は「空振りが減り、警報などへの信頼性が高まる」と話す。例えば、土砂災害警戒情報を出したものの災害が起きなかった昨年7月の壱岐市の大雨の場合、新基準では土砂災害警戒情報は出ない。類似の空振りは減るという。
代わりに警報や土砂災害警戒情報が出た場合は、災害の危険度が従来より高いことになり、より早い避難の判断が重要になる。田代さんは「今後は一層、防災情報の発表に留意してほしい」と指摘する。
一方、「数十年に1度」級の雨を示す大雨特別警報(土砂災害)の基準はほぼ同じため、発生頻度は変わらないという。県内では18~21年は毎年1、2回出ている。(石倉徹也)
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