第2回「マヂラブは漫才なのか」論争、ついに決着 方言学者がM-1を分析

有料記事頂点へ M-1グランプリ2022

照井琢見
[PR]

 「あれは漫才なのか」

 2020年の年末、笑いの頂上決戦「M―1グランプリ」(朝日放送テレビ制作)で優勝したマヂカルラブリーのネタをめぐり、SNS上でこんな論争が起きた。あれからもうすぐ2年。その答えがようやく見えてきたようだ。(照井琢見)

「つり革」ネタが論争の的に

 持ち時間の4分間、野田クリスタルはほとんど無言だった。「電車が揺れても、絶対につり革につかまろうとしない人」という設定で、派手に床を転げ回るだけ。そんな野田に、相方の村上は「耐えれてない!」と“実況”しながらツッコんでいた。

 決勝最終ラウンドの結果は、おいでやすこが、見取り図の2組をわずかに抑えて優勝。その直後から「漫才じゃない」「あれはコントだ」といった指摘がネット上で相次ぎ、前代未聞の「漫才論争」へと発展した。

方言学者が徹底分析

 この議論に終止符を打つような論文を発表したのが、関西大学文学部の日高水穂教授(54)=方言学=だ。

 20年までの過去16回分のM―1決勝ネタのうち、計74組192本(除外あり)を丹念に分析。この春、「談話類型からみた現代漫才」にまとめた。

 注目したのは、ボケとツッコミが誰にどう話しかけているのか。

 この点をふまえ、漫才を五つの「型」に分類した。

 たとえば、ボケとツッコミが互いに掛け合うスタイルは「対話型」。

 いわゆる「王道」の漫才で、01年優勝の中川家や19年優勝のミルクボーイなど、63組と最も多かった(他の型との重複を含む)。

マヂラブは分類できるのか

 マヂラブのネタは、同じ漫才と言えるのだろうか。確かに悩む。

 それでも、あてはまる型があった。

 「実況類B(ツッコミ実況)…

この記事は有料記事です。残り1338文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

連載頂点へ M-1グランプリ2022(全50回)

この連載の一覧を見る