コロナ下の瀬戸芸、総来場者72万人 前回19年より4割減

紙谷あかり
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 6日に閉幕した5回目の瀬戸内国際芸術祭の総来場者数は72万3316人で、前回2019年から約4割減った。実行委員会が9日発表した。新型コロナウイルス感染の水際対策などで、前回は来場者の2割以上を占めた訪日外国人客がほとんど来られなかったことが響いたとみている。

 今回はコロナ禍が続く中、4月14日に開幕し、春、夏、秋の3会期の計105日間開催された。会場別の来場者は、香川県の直島(直島町)が16万6737人で最多、小豆島土庄町・小豆島町)が12万3382人と続いた。岡山県内では、宇野港周辺(玉野市)は3万5479人、犬島(岡山市)は3万4503人だった。

 会場となった離島では、高齢者が多く医療提供体制が脆弱(ぜいじゃく)なため、感染対策に腐心した。作品受付などに検温スポットを設け、体温と体調確認をした上でリストバンドを配布した。実行委によると、感染者は計25人(来場者1人、スタッフ24人)で、懸念されたクラスター(感染者集団)は発生しなかった。

 コロナは作品制作にも大きな影響を与えた。183組のアーティストの213作品が展開され、うち74点の新作では公開が遅れた作品や、アーティストが来日せずリモートで完成させた作品もあった。総合プロデューサーの福武總一郎氏は「アーティストが来ないとできないだろうと思われた制作活動が、ある程度の品質を保ちながらできるということも大きな自信、良い経験になった」と述べた。

 実行委会長の池田豊人・香川県知事は6日の閉会式で、「始まって12年、評価は年々上がり、文字通り『世界の瀬戸芸』になったと思う。これを財産にしていかなければいけない」と述べた。閉会式後の取材に対し、3年後の次回開催について、「今回の成功を踏まえて検討し、瀬戸内海ならではの財産を生かしたイベントをさらに続けていけるようにしたい」と話した。(紙谷あかり)

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