4Aに成功したマリニン 「誰のマネもしない。自分のスタイル築く」

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坂上武司

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第1戦、スケートアメリカ(マサチューセッツ州ノーウッド)の会場が、揺れるような感覚に襲われた。

 彼が跳んだクワッドアクセル(4回転半)ジャンプが決まった瞬間だ。4分間のフリーが終わると、17歳は氷に手をついて一息ついた後、鳴りやまない大歓声にあどけなさの残る満面の笑みで応えた。

 ショートプログラム(SP)4位からの逆転優勝。昨季世界ジュニア選手権を制したイリア・マリニン(米国)である。

 9月のUSインターナショナル・クラシックで自身が世界で初めて成功させた最高難度の4回転半。さらに質を上げてきていた。

 4回転半を初成功させた時1・00だった出来栄え点(GOE)が、今大会では4・11。もはやマリニンの4回転半は彼にとって「普通」のジャンプになってきたと言える。

 実は取材現場では、本番では「跳ばない」と思っていた記者が多かったのではないか。僕も半信半疑だった。公式練習で成功させたのを確認したのは2度。何度か挑戦していたが、全体としてはタイミングが合わず失敗が多い印象だった。

 マリニンも大会前の記者会見でこう話していた。

 「4回転半をどうしていったらいいのかは、よく分かっていないんです。実際のプログラムに入れて価値を上げようというより、練習をたくさんやっている感じです。今後、4回転半の基礎点(12・50)が上がるのであれば、プログラムに入れていくのでしょうけど。今の段階では、フリーに入れるかどうかはっきり決めていません。当日の自分のコンディションによって、加えるかどうか決めることになると思います」

 良い意味で裏切られた形だ。フリー直前の6分間練習でも、4回転半は跳ばなかった。

 だが、17歳の心の中は違っていた。

 「6分間のウォームアップで…

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