安倍氏失い、拉致問題はどこへ 日朝首脳会談20年、いまだ糸口なく

有料記事

楢崎貴司 田嶋慶彦 安倍龍太郎 ソウル=鈴木拓也 野平悠一 小木雄太 里見稔 ワシントン=清宮涼 編集委員・北野隆一 聞き手・田嶋慶彦
[PR]

 小泉純一郎首相(当時)と北朝鮮の故金正日(キムジョンイル)総書記が会談し、日朝平壌宣言に署名して17日で20年になる。会談の結果、拉致被害者17人のうち、5人が帰国したが、その後の交渉は一進一退。拉致問題をリードしてきた安倍晋三元首相も「対話」と「圧力」で解決をめざしたが7月に死去した。岸田政権はどう解決の糸口を見いだすのか。

 「全て解決した拉致問題を日本が復活させた」。北朝鮮外務省宋日昊(ソンイルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使は20年の節目に出した15日付の談話で従来の主張を繰り返した。日本政府について「あらゆる醜悪な制裁措置を相次いで講じて、宣言を白紙に戻し、両国関係を最悪の対決局面に追い込んだ」と批判。「どのような方向に進むかは全面的に日本政府の態度次第だ」とした。

 松野博一官房長官は16日の記者会見で宋氏の談話について「コメントは差し控える」としながらも、「日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指すとの考えに何ら変わりはない」と改めて日本政府の立場を説明した。拉致問題の解決に向けて長年取り組んできた安倍氏が死去した影響について問われると「安倍元総理の遺志を継いで、あらゆるチャンスを逃すことなく全力で行動していく考えだ」と強調した。

 「拉致問題をこの手で解決できなかったことは痛恨の極みだ」。安倍氏は2020年8月、持病の悪化を理由に首相辞任を表明した記者会見で悔しさを口にした。父親の晋太郎氏の秘書だったときから拉致問題に取り組んできた。02年9月の小泉氏の訪朝時には官房副長官として同行。第1次政権でも、第2次政権でも拉致問題を最重要課題と位置づけてきた。

ストックホルム合意 安倍氏「これはチャレンジなんだ」 

 解決に向けた期待が一気に高…

この記事は有料記事です。残り3342文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら