山下清の見た兼六園、ペン画を初展示、福井市美術館

乗京真知
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 「裸の大将」「放浪の画家」として知られる山下清(1922~71)の生誕百年を記念した展覧会が福井市下馬の市美術館で開かれている。金沢の兼六園を描いた初公開のペン画や、花柄の九谷焼など、童心をくすぐる素朴な作風の191点が並ぶ。

 少年期に養護施設で貼り絵の才能を開花させた山下は各地を放浪し、49歳で亡くなるまで水彩画や焼き物など多くの作品を残した。

 目玉は、これまで所在が分からなくなっていたペン画「兼六園の庭」(1957年制作)だ。金沢市の会社員上原誠さん(52)が2018年に愛知の古書店で見つけて購入。生誕百年と聞き、出品を提案した。上原さんは「名所の魅力まで伝えてくれる観光大使のような作品」と評する。

 山下が8~10歳ごろに描いた小さな鉛筆画も初公開。五右衛門風呂に入ったり食卓を囲んだりする絵柄からは、家庭のぬくもりが伝わる。晩年の山下が力を入れた焼き物のうち、1956年制作の九谷焼「花もも」は、直径25センチのふたに紅色の桃の花を大胆にあしらっている。

 坂井市丸岡町の南出眞代さん(49)は、子供のころ母と一緒に山下の絵を鑑賞したことがあり、感動を伝えるために娘の帆摘(ほづみ)さん(25)を連れてきた。作品の細やかな描写から「こだわり」や「素朴な人柄」を感じ取ったという。

 展示は11月6日まで。9月24日には鈴木麻紀子学芸員が作品の見どころを解説する催しもある。入館料は一般1200円、高校・大学生800円、小中学生500円。乗京真知

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