「お前も共犯」コロナ雇調金詐欺 加担強いられ心に傷、失職の理不尽

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江口悟
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 どうして詐欺行為なんかに加担してしまったのか――。首都圏で暮らす40代の女性は2年前、正社員として勤めていた会社の社長から、新型コロナウイルスの影響を偽装して「雇用調整助成金(雇調金)」を不正受給する申請手続きを強要された。女性が受けた心の傷は深く、いまも不調が続いている。

 東京都内の小さな不動産会社だった。

 男性社長のワンマン経営で、求人広告に書かれていた給与なども、実際と違っていた。むちゃな指示に反論すると、「いいからやれ」と怒鳴り返される。かと思えば優しい声で機嫌を取ってくる。社長の一存で、気に入らない社員を解雇もしていた。社員は常に社長の顔色をうかがっていた。

 「明らかなパワハラで、早く辞めようと思っていた。それなのに、コロナのせいで、辞めるに辞められなくなってしまったんです」

 2020年春、新型コロナの感染が国内で急速に広がった。4月には当時の安倍晋三首相が最初の緊急事態宣言を出した。ほかの仕事を探すこと自体が難しくなり、生活のため、会社に残るしか選択肢がなかった。

 そんなある日、社長に命じら…

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