街で余った食品、動物たちの食卓を豊かに 財政難の動物園へ救いの手

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才本淳子
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 京都市動物園に余った食べ物を持ち寄る取り組みが広がっている。動物のエサにしてもらうためだ。きっかけは、園を運営する京都市の財政難。寄贈されたエサは、いまや全消費量の2割になり、意外なうれしい効果も生んでいるという。

 食事の時間になると、動物たちが活気づく。ナマケモノはカリカリと音を立て、うれしそうにキュウリをほお張っている。サルたちが手でつまんで食べているのはハトムギだ。キリンは剪定(せんてい)したての新鮮な枝葉に首を伸ばす。

 実はこれらのエサ、以前だったら捨てられていたものばかりだ。人間が食べるために栽培されたが見た目が悪くて「規格外」となった野菜や、剪定された枝葉など。JAや食品関連会社、造園会社など計46社・団体が園に寄贈している。

 例えば、ゴリラが楽しみにしている金時ニンジンは調理用に梅形に型抜きした残りの部分だ。届けているのは、料亭にも納入している錦市場の青果卸店「京秀味」。担当者は「もったいないという気持ちがずっとあった。おいしく食べてもらえてベストな形」。

 南禅寺御用達の老舗「服部食品」は、豆腐を作った後に残るおからを毎日20キロ分提供し、ゾウの「お気に入り」だという。西島寛営業部長(58)は「おからの活用を進めているが、使いきれない。昔から大好きだった動物園のゾウの役に立ててうれしい」と話す。

 現在、動物の食事の2割がこういった寄贈食材でまかなわれている。背景にあるのは京都市の財政難。予算見直しのなかで、運営する園の「節約の工夫」も必要になったのだ。

 園は昨年4月から本格的に協力を募り、寄贈してもらったエサを食べる動物たちを園のSNSで紹介。これがメディアで取り上げられ、共感した企業などから申し出が続出。従来は年約6千万円かかっていたエサ代は、昨年は5100万円に抑えられた。

 財政難に加え、光熱費やエサ代の高騰ものしかかるなか、今年はキリンが2頭生まれ、エサ代はさらにかさむ見込み。「本当にありがたい」と獣医師の和田晴太郎副園長は感謝する。

     ◇

 節約とは別の効果も生まれている。動物の食生活の質の向上だ。

 これまでは中央卸売市場や決…

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