第117回国境で体を見せるよう言われ ウクライナの性的少数者が直面する現実

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リビウ=森岡みづほ
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 ロシアによる侵攻が続くウクライナで、LGBTQなど性的少数者が厳しい状況に直面している。性的少数者を保護する法制度がほとんどないため、同性カップルが遺族年金を受けられないなど、様々な課題が浮き彫りになっている。

母と説得しても信じてもらえず

 「国境で係官に体を見せなければならなかった。嫌な気持ちだった」

 マシュー・クロトブさん(20)が、ウクライナ南部オデーサから4月、隣国ルーマニアへ避難した時のことを振り返った。

 クロトブさんは生まれた時の性別と性自認が異なるトランスジェンダー。2020年からホルモン治療を受け、声も外見も男性に見える。だが、法律上は女性のままだ。

 ウクライナでは侵攻直後に総動員令が出され、18~60歳の男性は基本的に国内にとどまらなければならない。外見が男性のクロトブさんはルーマニア国境でウクライナ側の係官に「女性」と書かれた身分証明書を見せると、「女性には見えない」と出国を止められた。

 ホルモン治療をした病院の診断書なども見せ、母も一緒に説得したが、理解は得られなかった。別室で女性係官2人の身体検査を受け、ようやく国境を越える許可が下りた。

「性別で国にとどまる人を決めるのはおかしい」

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 ウクライナ当局が警戒するの…

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