生き物に触れる「ふれあいコーナー」、動物の気持ちは? 識者に聞く

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聞き手・太田匡彦
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 子どもたちに命の大切さなどを学んでもらう目的で、多くの動物園に設けられている「ふれあいコーナー」。動物園にとって「集客の目玉」にもなっています。教育の場としてふさわしいのか、動物福祉への配慮は十分なのか。2人の識者に聞きました。(聞き手・太田匡彦

伊藤秀一・東海大教授「動物園はなんのために存在するのか」

いとう・しゅういち

1972年生まれ。東海大学農学部教授。専門は応用動物行動学、動物福祉学。共著に『動物福祉学』(昭和堂)。

 そもそも動物園はなんのために存在するのか。18世紀に欧州で始まった近代的な動物園は、英語では「Zoological Garden(またはPark)」と表現します。つまり「動物学の公園」。最初から、研究と教育に重きが置かれていました。それが日本には、福沢諭吉が著書『西洋事情』のなかで「動物園」と訳すなど、レジャー色が濃い存在として導入されていきます。

 全国の自治体で積極的に動物園がつくられるようになるのは、戦後の復興期から高度経済成長期にかけてですが、やはり子どもや親子連れのためのレジャー施設という性格が色濃く反映された。その目玉が、物珍しい動物としてのゾウやキリン、ライオンであり、また「ふれあい体験」や「エサやり体験」でした。

 その後、国内外で、動物園の役割として少なくとも「種の保存」「教育」「調査・研究」「レクリエーション」が必要だと考えられるようになってきた。ふれあいやエサやりは集客の目玉でありつつ、「命の大切さ」などを学ぶ「情操教育」の手段とも見なされるようになります。

 でも、ふれあいやエサやりは…

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