科学五輪の日本代表に極端な性別の偏り 識者が指摘する問題点

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聞き手・高浜行人
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 高校生らが学力を競う国際科学オリンピックで、この10年(2013~22年度)の日本代表メンバーに占める女子の割合が、わずか5%にとどまることがわかりました。この結果から見える日本の理系教育の課題とは。教育現場ジェンダー問題に詳しい河野銀子・山形大教授(教育社会学)に聞きました。

 ――数学、物理、化学など7科目ある国際科学オリンピックで、この10年の日本代表302人のうち、女子は16人のみです。

 科学オリンピックは、ただ個人の成績を競うだけでなく、異なる学校の代表同士が合宿してともに学んだり、一緒にプロジェクトに取り組んだりと、学校や塾ではなかなかできないことが経験できます。

 チームでコミュニケーションをとり、リーダーシップを発揮する場にもなり、これからの研究者に必要な資質を養う機会になるでしょう。学力トップ層の女子から、その機会が失われているのは残念です。

 科学オリンピックではこうした多様な学びができるということを、もっとPRした方がいいのではないでしょうか。これだけ極端に女子が少ないということは、代表になることのメリットが知られていないということ。難関大受験に有利になると言っても、進学に困っていない学力トップ層にはあまり響かないのでしょう。

 ――国内予選の参加者の女子比率をみても、数学、物理、情報で2割弱、化学で3割など、そもそも少ない傾向があります。

 女子生徒が理系科目への関心を高めにくい環境が、参加者数の男女差につながっていると思います。トップ層が通う都心の有名中高一貫校などで大学の理系学部への進学意欲に男女差があまりないことを考えると、その層ではない女子生徒たちの、理系分野への学習意欲が高くないことがネックになっているのでしょう。日本のSTEM(科学、技術、工学、数学)教育の問題点も、ここに表れていると思います。

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 ――どのような問題点でしょ…

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