第104回救えなかった命、悔やむ医師 ロシアの包囲に耐え抜いた病院の1カ月
「もう酸素ボンベがなくなってしまう」
ロシア軍に包囲された病院の地下に身を潜めながら、ナタリア・バブキナ医師(51)は心配を募らせていた。
3月。砲撃の音が途切れる日はなかった。100人近い患者たちとともに、地下シェルターに泊まり込んでの避難生活は1カ月近くに及んでいた。
病院には、バブキナ医師の母親も入院していた。新型コロナで症状が重かった。地下シェルターでの隔離は難しく、病棟の上階で砲撃の危険にさらされたまま治療を受けていた。
水も電気もない。1日1回の給水車と、小型の発電機だけが頼りだった。
貴重な電力は、手術室とコロナ患者治療のために優先的に回された。人工呼吸器が必要な患者は6人いた。綱渡りの治療が続いていた。
ウクライナ北部の都市チェルニヒウは、首都キーウに向かうロシア軍から激しい攻撃を受け、3月初旬から1カ月にわたり包囲されました。激戦下の医療現場では、何が起きていたのでしょうか。人々を守り続けた市立病院を訪ねました。
3月13日、爆音が病院を揺るがした。1階にあるX線検査室が砲撃を受け、大破した。
目前に迫ったロシア軍戦車
警報を聞いて避難した医師ら…
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