生活困窮世帯の子ども7人に1人が「ヤングケアラー」 支援団体調査

編集委員・清川卓史
[PR]

 家族の世話を担う子ども「ヤングケアラー」が、生活困窮世帯には高い割合で存在することが、埼玉県で学習支援事業を営む民間団体の調査でわかった。生活困窮世帯の子どものおよそ7人に1人、うち生活保護世帯の子どものみに限ればおよそ4人に1人に達し、国の全国調査で示された比率を大きく上回っている。

 調査を実施したのは、「彩の国子ども・若者支援ネットワーク」(通称アスポート、さいたま市)。埼玉県や県内各市から委託を受け、生活困窮者自立支援制度の「子どもの学習・生活支援事業」を実施している。

 調査は昨年8月から9月にかけて、県内25市23町村でアスポートの学習教室に通う子ども880人を対象に実施し、722人が答えた(内訳は小学生80人、中学生471人、高校生160人、その他・不明11)。生活保護世帯の子どもが119人、それ以外で「就学援助」を利用する世帯などの子どもが603人だった。

 「家族の世話や看病のため、学習教室を休んだことがある」という設問への回答では、「あてはまる」(「よくあてはまる」「まああてはまる」の合計)が全体で11%、生活保護世帯の子どもに限れば19%だった。

 また、「食事の用意や掃除・洗濯などのため、学習教室を休んだことがある」という設問では、「あてはまる」と答えた割合は全体で9%、生活保護世帯で17%だった。

 この二つの質問のいずれかに「あてはまる」と答えた子どもは、全体ではおよそ7人に1人(14・1%)、生活保護世帯に限定するとおよそ4人に1人(24・4%)に達した。

 同ネットワークによると、子どもたちへのアンケートは定期的に実施してきたが、ヤングケアラーに関する問いを設けたのは今回が初めて。以前から「下の子の世話で教室には行かせることができない」などの声が目立っていたことから、実情を把握するために盛り込んだ。

 厚生労働省が昨年発表した初の全国調査によれば、世話している家族がいると答えたのは中学2年で5・7%、高校2年(全日制)で4・1%だった。質問の仕方が異なるため単純比較はできないが、ヤングケアラーと思われる子どもの割合が生活困窮世帯で高い実態が浮き彫りになった。(編集委員・清川卓史

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら