動物は子どもとのふれあいでストレスを感じるのか 動物園長の悩み

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聞き手・岡本進
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耕論 動物とのふれあいは必要か?①

 動物園にいる動物とのふれあいは、動物の立場からすれば、負担を受けやすく望ましくないという指摘があります。動物園の現場では、どう対応しているのでしょうか。埼玉県こども動物自然公園の園長、田中理恵子さん(58)に聞きました。

たなか・りえこ

 1963年生まれ。東京農大畜産学科卒。埼玉県こども動物自然公園で70種以上の飼育を担当。2016年から園長。

 ――モルモットやウサギに触ったり、抱っこしたりするふれあい体験コーナーが、園の運営の中心ですね。

 「子どものための動物園として、埼玉県のほぼ中央にある比企丘陵の森の中に開園し、42年になります。モルモットの名前で親しまれているテンジクネズミなどの小動物を抱くことができる体験コーナーは、開園当時からの人気です。来園者数は、コロナ禍の影響で、まだもとには戻ってはいませんが、例年だと年間70万人ほどいます」

田中さんは、動物園のふれあいコーナーを訪れた一人の男の子のことが印象に残っているそうです。記事後段では動物とふれあうことの意味や、動物園で行っている工夫について語っています。

 ――動物にとっての快適さを求める「動物福祉」の観点から、動物園への風当たりが強まっています。動物を抱っこさせるのは人間の都合で、動物から見ればストレスを生じているのではないかという批判があります。

 「園では1日に3回、子どもたちが小動物とふれあえる時間を午前に1時間、午後に1時間と30分、それぞれ設けています。触り方や抱っこの仕方は飼育係が事前に子どもたちに教え、乱暴に接したり、際限なく抱いていたりする子がいれば、理由を伝えてやめさせます」

 「でも、動物は言葉をしゃべることができない。モルモットが、子どもたちに抱っこされることを嫌がっていないのか。3年前、麻布大学の獣医学部と共同で調査をしました」

 「『ふれあいタイム』の前後…

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