第14回ボートマッチ、なぜこの結果に? 「一致度」測る仕組みを徹底解説

朝日・東大共同調査(参院選2022)

鈴木峻
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 7月10日投開票の参院選。投票先を決められず、悩んでいませんか? そんな有権者の皆様の参考になればと、朝日新聞は、自分の意見と政党や候補者の考えの「一致度」を調べられる「ボートマッチ」を開設しました。どんな方法で「一致度」を割り出すのか、その仕組みを一から解説します。

 朝日新聞と東京大学大学院法学政治学研究科の蒲島郁夫名誉教授(2005年調査まで。現熊本県知事)、谷口将紀教授の研究室は2003年から、国政選挙の候補者を対象に政策課題へのスタンスを尋ねるアンケート「朝日東大共同調査」を実施しています。今回の参院選では、90%以上の候補者から回答を得ました。朝日新聞のボートマッチは、この集計データを活用しています。

 使い方はこうです。ユーザーは、候補者に尋ねたアンケートと同じ「外交・安保」「経済・財政」「社会の課題」の3ジャンルの23の質問に回答します。ボートマッチは、ユーザーの回答が、候補者の回答や政党平均値とどの程度近いか「一致度」を割り出します。

 朝日新聞ボートマッチの「一致度」は、ユーザーと候補者の回答の距離を測った「近接性」を指標にしています。

 朝日東大共同調査のアンケートは、5段階の選択式です。例えば、下記のような回答の選択肢があります。

 ①賛成

 ②どちらかと言えば賛成

 ③どちらとも言えない

 ④どちらかと言えば反対

 ⑤反対

 まず「一致度」を計算するために、回答は、「賛成」を1、「どちらかと言えば賛成」を2、「どちらとも言えない」を3、「どちらかと言えば反対」を4、「反対」を5、という具合に数字に置き換えます。そのうえで、ユーザーと候補者の回答あるいはユーザー回答と政党平均値が、数直線上でどれだけ離れているか最短距離を計算します。全て同じなら一致度100%、正反対なら0%として、距離すなわち「近接性」を表現します。

もう一つの考え方「方向性」 懸念点も

 「近接性」は一致度を測るための最も標準的な手法ですが、その他のやり方もあります。

 例えば、候補者Aが「賛成」、候補者Bが「どちらとも言えない」、ユーザーが「どちらかと言えば賛成」を選んだ場合、ユーザーと候補者A・Bとの距離は「1」で、「一致度」は等しくなります。これに対して賛成寄り、反対寄りなど「方向性」を重視すれば、「どちらかと言えば賛成」と回答した有権者が、「どちらとも言えない」とあいまいな態度をとる候補者Bよりも、「賛成」と明確に答えた候補者Aを選ぶという見方もできます。

 ただ、ボートマッチで「方向性」を重視すると、極端な立場を取る政党ほど一致しやすくなるという問題点もあります。

 朝日新聞ボートマッチには、このような特性があると知っておいて欲しいと思います。なお、ユーザーと政党平均値との「一致度」の結果表示画面では、「質問別」にユーザーと候補者の回答の位置関係を視覚的に確認できます。その画面では「方向性」の違いを確かめられますので、是非、参考にしてみてください。

 ボートマッチが測る「一致度」はあくまで参考指標に過ぎません。国政選挙は、どんな人物あるいは政党の人物を国民の代表者として国会に送り込みたいのか、有権者が意思表示する大事な機会です。自分の考えをまとめたり、候補者や政党について新たな発見をしたりする――。そんな補助手段としてボートマッチを役立てて欲しいと思っています。(鈴木峻)

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