世話好き母、一人勤務の夜に殺された 娘の「なぜ」 老人ホーム殺人

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山本逸生 野崎智也 甲斐江里子
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 大阪市平野区の老人ホームで昨年11月、1人で当直勤務中だった職員の榊(さかき)真希子さん(68)を殺害したとして、大阪府警は23日、入居者で事件直後に自殺した石川誠治容疑者(72)を容疑者死亡のまま殺人容疑で書類送検し、発表した。捜査関係者によると、容疑者の日記には職員を殺害後、ホームに放火して他の入居者を殺害し、自殺する計画が書かれていたという。

 平野署によると、送検容疑は昨年11月16日午後10時半ごろ、大阪市平野区長吉川辺3丁目の住宅型有料老人ホーム1階の事務室で、榊さんを複数回殴って殺害したというもの。

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 「なぜ優しい母が命を奪われることになったのか。どうして1人で当直勤務に入っている時に殺されなければならなかったのか」

 榊(さかき)真希子さん(当時68)の長女(36)が、朝日新聞の取材に胸の内を語った。

 「世話好き」という言葉が似合う母だった。

 東海地方にいる兄や孫のもとへ、大阪市内の家から夜中に車で片道3時間半かけてイチゴを届けたことがあった。玄関先に置き、「もらったイチゴ、届けておいたよ」とLINE(ライン)だけして、大阪にとんぼ返り。「起こしたら迷惑やろ」と言っていた。

 事件の約1週間前に女性が誕生日を迎えた時も、手作りの赤飯とロールキャベツを届けてくれた。家族が喜ぶ姿が好きだった。

 ヘルパーを長く務めてきた。約4年前から勤めていたこの老人ホームでも「世話好き」だった。

 雷が鳴り響いた昨年6月の夜…

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