菅前首相の高校講演が中止に 参院選直前、18歳への影響懸念する声

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伊藤良渓 小林直子
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 神奈川県立瀬谷西高校(横浜市瀬谷区)で今月13日に予定されていた自民党菅義偉前首相の講演会が中止になったと、県教育委員会が8日発表した。菅氏側の「スケジュールの都合」という。講演会の対象は高校3年生で、選挙権を持つ18歳も含まれており、参院選が迫る時期のため開催に反対する声も上がっていた。

 同校は今年度末に統廃合で閉校するため、在校生は3年生289人。13日に予定していたのは学校側が企画した「生徒向け政治参加講演会」で、菅氏は市内で2027年に開催予定の国際園芸博覧会やカーボンニュートラルなどをテーマに、約1時間の講演をする計画だった。

 県は、市民として主体的に生きる力を養う「シチズンシップ教育」を進めており、同校はその指定校でもある。県教委の担当者は、「生徒たちには投票の意義などを考える素地があると考えている」と説明したうえで、「投票や特定の政党の支持を呼びかけるような講演会ではないため、教育基本法には違反しない」との見解を示している。

 一方で、講演会の開催に違和…

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    末冨芳
    (日本大学文理学部教授)
    2022年6月9日7時33分 投稿
    【視点】

    学校教育での政治的中立性に対して、神奈川県教育委員会・学校の判断も菅義偉議員サイドの判断も甘すぎたためにこのような事態になっています。 菅氏がどのような判断をし承諾したのか、また菅氏を推薦したと他の報道にある県議が誰だったのか、なぜ推

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    曽我部真裕
    (京都大学大学院法学研究科教授)
    2022年6月9日8時1分 投稿
    【視点】

     議論の構図が日本の政治空間の貧困さを象徴するようで、残念さを感じました。  本来、高校生にとって、元首相に直接会って話が聞けるというのは極めて貴重な機会であり、むしろ、政治家、特に首相や大臣等をつとめた人物は積極的にこうした機会を設ける

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