柳原伸洋さん|戦争の社会史研究者
女性が砲撃する動画がSNSにアップされたり、射撃手だった19歳の女子大学生の戦死が報道されたり――。ロシアによるウクライナ侵攻では、戦うウクライナの女性の姿がSNSなどを通じて日本にも伝わってくる。「戦う」女性の姿はなぜ目立ち、見た人にどんな印象を与えるのか。戦争の記憶や民間防衛について研究する柳原伸洋・東京女子大准教授に聞いた。
やなぎはら・のぶひろ
1977年生まれ。東京女子大准教授。共著に「第一次世界大戦と民間人」、共編著に「教養のドイツ現代史」など。
――ウクライナでは、どのくらいの女性が戦っているのでしょうか。
「18~60歳の男性は徴兵に備えて出国を禁止されています。ただ、戦っているのは男性だけでなく、兵士の約15%にあたる3万人は女性です。2014年のロシアのクリミア侵攻後は、一般女性を隊員とする民間防衛隊も強化され、銃を撃つ訓練などをしてきました」
――ロシア軍でも女性が戦っているのでしょうか。
「ロシアの女性兵士は約4万人(17年時点)で、全体の4~5%程度とウクライナと比べると少ないです。第2次世界大戦後、ソ連では、戦争で減少した人口を増やすことが優先され、女性は軍人を含む危険な仕事につくことが制限されました。ソ連が解体されロシアになってからも、女性は前線ではなく、後方支援の部隊で働くことが多いです。むしろウクライナの方が、民主化や男女平等の一環として、先に女性の軍事登用を進めています」
記事後半では、女性一人一人にあるはずの個性が、戦時下では「兵士」「母親」など大きなイメージへとひとくくりにされがちな理由について、柳原さんが語ります。
「女性なのに」「女性さえ」戦っている
――SNSや報道で、迷彩服…
【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら
ウクライナ情勢 最新ニュース
ロシアのウクライナ侵攻に関する最新のニュース、国際社会の動向、経済への影響などを、わかりやすくお伝えします。[もっと見る]