日本一迷いやすい登山道は? アプリのビッグデータで探る遭難回避策

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石平道典
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 「道を間違えました。右に行きましょう。左は行き止まりです」――。

 登山地図アプリの運営会社が、こんな登山者からの投稿や軌跡などのビッグデータを分析し、「日本一道迷いしやすい登山道」を選んだ。コロナ禍でも低山登山やハイキングは人気で、道迷いが山岳遭難につながるケースは後を絶たない。なぜ、人は迷ってしまうのか。

 《途中滑落を覚悟しました。なんとか上まで登れました。奇跡。どんどん反り上がって引き返せない地獄でした》

 2021年9月10日午前8時半ごろ、登山者向けのスマートフォン地図アプリ「YAMAP(ヤマップ)」に登山者からこんな投稿があった。

 場所は滋賀県三重県の境界にあり、ロープウェーもあって多くの人が訪れる御在所岳(ございしょだけ)(標高1212メートル)の登山道。急傾斜で、細かな岩や石に覆われたザレ場が続く写真とともに、緊迫した状況を伝えていた。

遭難原因の最多は「道迷い」

 登山に潜むリスクの一つが「道迷い遭難」だ。警察庁の山岳遭難の概況によると、20年の遭難者数は2697人。そのうち44%にあたる1186人が道迷いで、毎年のように最も多い遭難原因となっている。

 「ウィズコロナの登山では、気軽に行ける近場の低山が人気。一方で低山は、登山道の整備や管理が行き届いていないところもあり、登山者が分岐に気づかないなど、道迷い遭難につながりやすい」。YAMAPの運営会社ヤマップ(福岡市)の広報担当、上間秀美さんはそう話す。

 YAMAPは通信電波が届かない山中でもGPSで現在地を把握できる。アプリのダウンロード数は300万件にのぼり、月間約2千万件の閲覧がある。

 同社は登山の安全につなげようと、こうしたビッグデータを詳細に分析し、最新のデータをもとにした「日本一道迷いしやすい登山道」を21年から選定している。そして、新たに22年版の「5地点」をまとめた。

遭難の分岐点は意外なところに――。記事の後半では、5地点の詳細な場所とともに、道に迷いやすいポイントを明らかにします。さらには、ある「対策」が取られたことで、道迷いが見られなくなったケースも紹介します。

最新版「迷いやすい登山道」5地点

●「日本一道迷いしやすい登山…

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