陸揚げされたカズワンは重要な「証拠物」 家族でも船体に触れられず

御船紗子 佐野楓 神村正史
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 北海道斜里町知床半島沖で乗客・乗員計26人を乗せて沈没した観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が1日、網走港で陸揚げされた。事故原因解明のための「証拠物」だけに、保管場所への移送は慎重に行われた。その後、初めて乗客の家族に公開されたが、船体に触れることさえ許されなかった。

 午前7時15分ごろ、陸揚げ作業が始まった。ほぼ無風で、海を隔てたはるか奥には、雲の合間から知床半島の山並みがのぞいていた。カズワンは作業台船上からクレーンでつり上げられ、大型トレーラーの荷台に下ろされた。

 トレーラーは午前8時23分、約500メートル離れた保管場所に向け、人の歩みほどの速さで動き始めた。途中の交差点では高さ約9メートルの通信ケーブルをくぐることになり、作業員が高所作業車から見守った。カズワンとケーブルとの間は70センチほど。微速を強いられ、到着まで約1時間かかった。

 再びクレーンでつり上げられたカズワンは、白いシートで囲われた保管場所に下ろされた。その後、ブルーシートの天幕で覆われ、中の様子をまったくうかがえなかった。

 乗客の家族9組27人を乗せたバスは午後2時半すぎ、保管場所に到着した。家族は船内を見たり船体に触れたり、撮影したりすることは許されなかった。家族らは船尾前に設けられた献花台に花を手向けた。御船紗子、佐野楓、神村正史)

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