ウクライナ情勢、強まる「原発回帰」の流れ 政策見直しへと進むのか

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岩沢志気 関根慎一 西村圭史
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 岸田政権で新たに策定する「クリーンエネルギー戦略」に、原子力の「最大限の活用」が明記される見通しだ。ウクライナ情勢でエネルギー供給の不安定さが露呈し、政府・与党内では「原発回帰」の動きが強まる。原発政策の見直しにつながる可能性がある。

最大限活用と依存低減、矛盾は?

 17日、自民党本部で総合エネルギー戦略調査会が開かれた。クリーンエネルギー戦略をめぐる提言案には再生可能エネルギーと並び、原子力について「エネルギー安全保障、脱炭素の効果の高い電源を最大限活用する必要がある」との文言が盛り込まれた。

 戦略は、岸田文雄首相が策定を指示した。経済産業省が13日にまとめた中間整理では、再生可能エネルギーとともに原子力の「最大限の活用」を明記した。岸田政権が6月上旬の閣議決定をめざす「新しい資本主義」の実行計画にも盛り込まれれば、「最大限の活用」は政府の方針となる。

 菅前政権の後を継いだ岸田政権は昨年10月、中長期の方針であるエネルギー基本計画を閣議決定した。原発は脱炭素に欠かせない重要な電源としながらも、「可能な限り依存度を低減」という従来の方針を踏襲した。

 原発の「最大限の活用」は「依存度を低減」と矛盾しないのか。

 萩生田光一経産相は17日の…

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    前田直人
    (朝日新聞デジタル事業担当補佐)
    2022年5月17日23時11分 投稿
    【視点】

    2011年の東電福島第一原発事故の直後は、反原発・脱原発の声が日本でも高まりました。しかし、あれから11年がたち、少しずつ事故の衝撃の記憶は薄れていっているように思います。 それでも、朝日新聞が定期的におこなっている世論調査をみると、

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    市田隆
    (朝日新聞記者=調査報道、経済犯罪)
    2022年5月18日22時20分 投稿
    【視点】

    東京電力福島第一原発の事故以降、現在も国内の多くの原発が停止したままだ。その中には、原子力規制委員会の新基準で許可が出ても、安全対策工事で時間がかかっている原発もある。電力会社が再稼働に慎重な関係自治体を説得できるかどうか見通しが立たない地

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