原発燃料、3年半製造できず 「在庫ピンチ」の九電は異例の支援も

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藤波優 川村剛志
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 原子力発電所で使う核燃料の国内での製造が、3年半にわたって止まっている。製造を手がける国内の3社が、新規制基準にもとづく原子力規制委員会安全審査をクリアできていないためだ。電力会社が原発の再稼働にこぎ着けても、燃料がなければ運転できない。燃料の在庫が乏しい九州電力は「そうならないように」と、異例の審査支援に乗り出した。

 3社のうち最も審査が進んでいた三菱原子燃料(茨城県)の審査が行き詰まる発端は、昨年12月上旬にあった現場確認だった。

 「変更がないはずの設備に工事が行われているのでは」。規制委の検査官がそう指摘した。燃料の分析装置を置く机の固定器具が新品になっていたからだ。すでに認可されていた工事計画で「変更なし」としていた器具だ。

 「過去に替えたもの」

 同社は検査官にそう説明。さらに、つじつまを合わせるため、規制委が確認する文書からこの器具の記録を抜き取った。

 その後、虚偽の説明をしたことが判明し、同社が陳謝。このほか、無断で鉄扉を取り換えるなど工事計画と異なる不備が約60件見つかった。

 九電などが持つ加圧水型炉(PWR)向けの燃料をつくってきた同社はもともと、昨年11月にも製造を再開する予定だった。だが想定通り審査は進まず、「『工程プレッシャー』から、コンプライアンス意識の徹底が不十分だった」と釈明する。改めて工事計画の変更などをする必要があるといい、規制委の審査は当面続く見通しだ。

 国内では同社を含む3社の4工場が燃料を製造していた。新規制基準が導入された際、安全対策のために2018年末まで5年間の猶予期間を設けた。だが、3社とも期限までに審査が終わらず、それ以降、製造を再開できずにいる。

 茨城県と大阪府に工場がある原子燃料工業(横浜市)は「早く操業を再開したいが、(時期は)伝えられない」。グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン(神奈川県)も、24年春としていた再開時期の見直しを検討しているという。

 東京電力福島第一事故後に再…

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