命がけの写真を未来へ 世界の有志がウクライナの戦禍伝える3D地図

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宮野拓也
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 世界各国の有志が連携して、ウクライナの戦禍の現状を伝える写真の位置情報を特定して3Dマップにしてウェブ上に公開し、戦争を可視化する取り組みを進めている。日本発の取り組みで、現地の市民らが命がけで撮影したデータも含まれる。連日、現地の写真が届く中、この取り組みに協力していたウクライナ人の写真家の悲報が伝えられた。

侵攻翌日に始まった「ウクライナ衛星画像マップ」

 プロジェクト名は「ウクライナ衛星画像マップ」。3Dマップでは、住民が避難していたにもかかわらず爆撃されたマリウポリの劇場の様子や、キーウ(キエフ)近郊の激戦地イルピンで火の手が上がり、日を追うごとに中心部へ被害が拡大していく状況を立体的に見ることができる。攻撃を受けたキーウの高層マンションの3D画像では、部屋の中の家具が見えるほど精巧につくられている。

 マップは、東京大学大学院情報学環の渡邉英徳教授(情報デザイン)と、青山学院大学地球社会共生学部の古橋大地教授(空間情報)が始めた。2人は東日本大震災でも地図上に写真や証言などを保存するプロジェクトに関わった経験をもつ。

 2人は現地の住民が撮影した映像をもとにした3D画像や、米国の衛星会社などが公開した衛星写真の位置をグーグルアースで一枚ずつ探しだして特定し、画像の縦横の比率やゆがみを調整して、実際の場所と重なるように地図に落とし込む。被害を受けた建物の写真を3D化していたドイツの研究者ら世界各国の有志もこのプロジェクトに加わり、衛星写真と地上での画像とを組み合わせて、より立体的に戦争を可視化して、デジタル上に記録していく作業を続けている。

レビンさんから届いた「いいね」

 現地の住民からは、避難している地下室の画像なども届けられる。画像は、連日のように増え、4月21日時点で約240のデータが公開されている。

 3Dマップには、キーウから北西約50キロのボロジャンカで、砲撃によって破壊された高層マンションやトラックの3D画像もある。マンションの中央部が崩れ落ちた写真は、世界に大きな衝撃を与えた。

 これらの写真を撮ったウクライナの報道写真家マクス・レビンさんも、ドローンなどで撮影した現地の映像を提供してくれていた。

記事の後半では、3D画像に欠かせないドローン映像を撮影した報道写真家の故マクス・レビンさんとプロジェクトの関わりを紹介しています。

 渡邉さんはレビンさんの3D…

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