第6回死の当日も「職員は命の危険考えていなかった」 入管が明かした経緯

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 ウィシュマさんの死と長期収容の問題について、出入国在留管理庁はどう受け止めているのか。当初、私は佐々木聖子長官と調査報告書をとりまとめた丸山秀治・出入国管理部長にインタビューを申し込んだが、実現しなかった。

 その後、同庁総務課の広報担当者を通じて書面で質問を送り、出入国管理部警備課と参事官室の担当者がそれぞれ電話で取材に応じた。主な内容は以下の通り。

 ――2021年2月15日の尿検査の結果は、ウィシュマさんの体調が危険な状態にあることを示していました。精神科以外の検査や治療はなぜ、なされなかったのですか。

 「21年1月中旬から3月4日までの間に、ウィシュマさんは施設内で5回、外部の病院で2回、診察を受けていますが、いずれの医師からも点滴や入院の指示はありませんでした」

 「2月18日の内科医による庁内診療の結果、3月4日に精神科を受診することが決まっていたため、職員は点滴や外部病院での診察などウィシュマさんの求めに対応しませんでした。一方で、名古屋局では被収容者からの診察の申し出について、看守の職員や看護師が必要性を判断して事実上のスクリーニング(事前のふるい分け)を行っていました。そのため、ウィシュマさんの点滴や受診の求めは、幹部に報告、共有されていませんでした」

出入国在留管理局の収容施設で何が起きたのか――。2021年3月、名古屋の施設でスリランカ人女性が死亡しました。入管庁、遺族、関係者への取材から、その経緯と背景に迫る6回連載の最終回です。

 ――尿検査の結果はウィシュマさんの健康状態の異変を明らかに示していましたが、どう対応したかについて、名古屋局内の看護師と内科医の見解にはズレがあります。経緯を詳細に教えていただけないでしょうか。

 「看護師によると、2月18…

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