土葬できる墓地、ムスリムの申し込み途切れず かつての風習つなぐ
日本に住むムスリム(イスラム教徒)はいま、推計で20万人以上。人口が増え続ける中で、お墓の確保が深刻な問題になっている。宗教上の理由で、土葬が必須だからだ。日本にわずかしかないムスリム土葬墓地の一つを訪ねて見えてきたものは、日本の文化とのつながりだった。(黒田早織)
がらんとした空き地に並ぶ42基のお墓。立派な白い墓石にアラビア語が刻印されたものもあれば、盛り土だけのものもある。
「埋葬された人の国籍や経済力は様々。だから、お墓の形も色々なんです」。管理人の早川荘丞(そうすけ)さん(75)は話す。
ここは埼玉県本庄市の本庄児玉聖地霊園。国道254号をそれ、坂道をしばらく上がると現れる。
霊園は元々、日本人向けだった。ムスリム向けに土葬墓地を受け付け始めたのは2019年6月で、最初に埋葬されたのは同県草加市に住むガーナ人だった。
許可を得てお墓の台帳をめくると、3年間で国籍が多様になったことが分かる。
パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、イラン、南アフリカ、中国・ウイグル、サウジアラビア、インドネシア……。ムスリムの外国人男性と結婚したとおぼしき、日本女性の名前もあった。
ムスリムが入れる数少ないお墓には、地域的な偏りもあります。日本で困難に直面するムスリムの声を記事の後半で紹介します。日本の火葬文化をめぐる「誤解」についての指摘も。
取材に訪れる前日には、日本で生まれ育った10歳のバングラデシュ人の子が埋葬されたばかりだった。
「お父さんが泣きながら棺お…
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- 【視点】
記事を読んで、日本にいるムスリムは推計23万人で増加傾向にあるものの、日本でムスリムの埋葬ができる墓地が7カ所のみというのに驚きました。出入国在留管理庁が発表した2020年6月のデータによれば、在留外国人数は288万5904人、総人口の2%
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