スペインでは全国大会なし 「スポーツ大嫌いに変わる」仕組みを思う

有料記事勝利至上主義を考える

聞き手・照屋健
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勝利至上主義を考える

 行き過ぎた勝利至上主義が散見される――。そんな理由で、小学生の柔道の全国大会が廃止になった。

 スペインでは、サッカーの18歳以下の全国大会は開かれていない。スペイン1部リーグのビジャレアルで育成にかかわる佐伯夕利子さん(48)は全国大会の是非にはこだわらない。Jリーグで3月まで理事を務めた経験から、「スポーツ大嫌いな日本人」を生み出す仕組みを問題視する。

 ――全日本柔道連盟は小学生の全国大会を廃止にしました。

 「全国大会に賛成か、反対か。二者択一で議論が展開されていて、正直残念。そこじゃない、というのが私の考えです。全国大会という競技会の規模感が問題ではない」

 ――スペインのサッカー界では全国大会はあるのでしょうか。

 「スペインでは23歳以下が育成年代とされています。育成年代で開催されている全国大会はU19(19歳以下)のカテゴリーのみです。U19は全国で7グループ地域別に分かれ、最後は7リーグの優勝チームを集めて、全国チャンピオンを決めています」

 「18歳以下は最大で自治州、もしくは各県の大会でおさまるようになっているので、全国大会はありません」

 ――全国大会がなければ、過度に勝利を追い求めることもなくなるのでは。

 「例えば、スペインの小学生…

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    平尾剛
    (スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)
    2022年4月4日11時24分 投稿
    【視点】

    ここ日本において子供を取り巻くスポーツの健全化を図るために必要な視点を、佐伯夕利子氏は的確に提示していると私は思います。 全国大会という「仕組み」だけを整えるのではなく、指導環境そのものを改善しなければ何も変わらない。『この業界で一番

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    中小路徹
    (朝日新聞編集委員=スポーツと社会)
    2022年4月2日12時39分 投稿
    【視点】

    日本のスポーツで「そういうものだ」と思われてきたことへのアンチテーゼが、佐伯さんの言葉にはたくさん含まれています。  「日本の練習は指導者に支配されていませんか」  指導者が子どもを教え込み、引っ張り上げ、勝利に導く。メディアを含め、そ

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