建築物の省エネ法改正案、見送りの公算大 「脱炭素」に逆行の懸念も

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初見翔 高木真也
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 国土交通省が、今国会で予定していた建築物の省エネ化を進めるための法案の提出を見送る公算が大きくなっている。今夏の参院選に加えて国交省の統計不正問題で、法案審議に割ける時間がとれなくなったためだ。関係者からは、政権が掲げる「2050年の温室効果ガス排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)」の目標に逆行するとの声が上がっている。

 提出を見込んでいたのは、住宅やビルの断熱性能の基準を定める「建築物省エネ法」の改正案。25年度までに住宅などすべての新築建物に一定の省エネ基準への適合を義務づける。これまでは大規模なオフィスビルなどに限られていた。

 政府は今国会で法案を提出する方針だったが、国会開会時に国交省が発表した5本の提出予定法案には含まれなかった。28日の参院決算委員会で、提出の見通しを問われた岸田文雄首相は「しっかりとした準備を行い、法案を提出していきたい」と述べ、明確な答弁を避けた。

 参院選の年は与党が通常国会の会期延長を嫌うため、政権は法案数を絞ったり、野党と対立しそうな法案の提出を見送ったりするのが通例だ。ただ、国交省幹部は「過去に参院選があった年でも(法案を)6本は通している。建築物省エネ法は野党と激しく対立する話でもない」と言う。

 むしろ昨年12月に国交省の…

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