第1回航空機「追い返せないか」 水際対策で世論気にした首相、狂った目算

有料記事オミクロン攻防 岸田政権の120日

森岡航平 笹山大志 小泉浩樹
[PR]

 岸田文雄首相はいら立っていた。

 「追い返せないか」。昨年11月26日、首相官邸幹部が「今夜も対象地域から1便入るようです」と伝えると首相が言った。

 この日、WHO(世界保健機関)は南アフリカで報告されたコロナウイルスの変異株を「オミクロン株」と命名。日本政府は、南アフリカなど周辺6カ国を対象に水際対策の強化を発表したばかりだった。

 岸田政権の発足から約2カ月。首相の脳裏をかすめたのは、コロナ対応が「後手」に回り、政権運営が窮地に陥った安倍・菅政権の失敗だった。2022年夏の参院選を安定政権の足がかりにしたい首相にとって、まさに初めて迎える正念場だった。

「いや、全部だ」 秘書官の提案、首相は首を振った

 自民党内の激しい政治抗争を…

この記事は有料記事です。残り1327文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    蔵前勝久
    (朝日新聞政治部次長)
    2022年3月17日21時15分 投稿
    【視点】

     この記事にある「慎重の上にも慎重に対応すべきと考えて政権運営を行っている。岸田は慎重すぎるという批判は私がすべて負う覚悟だ」という首相の発言は、確かに印象的でした。だからこそ、この発言に裏打ちされた決断は、国民に響いたのではないか、と感じ

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    前田直人
    (朝日新聞デジタル事業担当補佐)
    2022年3月17日21時33分 投稿
    【視点】

    新型コロナウイルスの感染拡大と内閣支持率はやはり相関していると思います。ほかの個別政策をめぐる争点とは違い、一般国民への影響が非常に大きいからです。医療を重視するか、経済を重視するかといった対立のはざまで立ち往生することもあります。どっちに

    …続きを読む
新型コロナウイルス最新情報

新型コロナウイルス最新情報

最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[もっと見る]