部落差別とは 自由と平等求めた全国水平社の歩み

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 部落差別の根絶をめざし、当事者たちが立ち上がった「全国水平社」の創立から3月3日で100年を迎えます。

 部落差別とは、かつて賤民(せんみん)とされた人が居住する地域(部落)と人に対する差別のことです。差別による貧困で、経済的、社会的、文化的に低位の状態に置かれ、居住地や職業などを理由に交際や結婚を妨げられたり、就職で排除されたりしてきました。

 1871年、明治政府は被差別身分を廃止する「解放令」を公布しましたが、厳しい差別はなくなりませんでした。

 そのため1922年3月3日、京都市の岡崎公会堂に全国の被差別部落から当事者たちが集まり、自由と平等を求めて全国水平社の創立大会を開きました。

 この時、日本初の人権宣言と言われる「水平社宣言」が読み上げられ、満場一致で採択されました。

 水平社宣言は、「全国に散在する吾(わ)が特殊部落民よ団結せよ」との呼びかけに始まり、「吾々(われわれ)がエタである事を誇り得る時が来たのだ」と当事者が団結して差別の撤廃を訴えるべきだとの理念がうたわれています。

 「人の世に熱あれ、人間に光あれ」という言葉で結ばれた宣言は、社会のあらゆる人権問題の克服に向けた原点となってきました。

 しかし、いまも差別や偏見に苦しみ、憎悪や分断に心を痛める人々がいます。

 こうした状況を改善するため、国は1969年に「同和対策事業特別措置法」を制定し、2002年までの33年間、法に基づく関連事業を進めました。

 しかし、部落を避ける市民の「忌避意識」の解消には至らず、いまだに結婚差別などが根強く残るとされています。

 16年には部落の所在地の一覧がインターネット上に公開され、差別意識や偏見の再生産が問題となっています。

 国は16年、「部落差別解消推進法」を制定しました。「現在もなお部落差別が存在する」「情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じている」として、国や自治体の責務として相談体制の充実や教育・啓発、実態調査の実施などを明記しました。

 世界にも様々な人権課題が数多く残されています。

 国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)には貧困、飢餓、人や国の不平等をなくすことや、ジェンダー平等の実現、平和と公正などの課題が盛り込まれています。

 最近では17年、米ハリウッドの女性俳優が性暴力セクハラ被害を告発する「#MeToo」がSNSで広がりました。

 20年には黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に首を圧迫されて死亡した事件を機に、人種差別撤廃をめざす「#BLMブラック・ライブズ・マター、黒人の命も大切だ)」が拡散し、全米で抗議デモが起きました。

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