ほこり積もる機器「なんとかしろ」トヨタ不正車検の疑い、書類送検へ

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山下寛久 高絢実
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 トヨタ自動車の系列販売会社で不正車検が相次いだ問題で、愛知県警は近く、最初に不正が発覚した販売店「ネッツトヨタ愛知プラザ豊橋」(同県豊橋市)で車検を担当した整備士らを、道路運送車両法違反などの疑いで書類送検する。

 捜査関係者によると、整備士らは、客から請け負った車検作業で、検査項目を省き、適切に検査したようにうその書類を作って車検を通すなどした疑いがある。

 国土交通省中部運輸局の発表によると、豊橋店では2018年12月~21年1月に車検を受け付けた全車両5158台について検査の一部を不正に省いていた。運輸局は昨年3月、豊橋店の指定自動車整備事業の指定を取り消した。

 トヨタの発表によると、豊橋店を含めた系列販売会社15社16店舗で不正車検が見つかった。問題発覚後、トヨタはレクサスも含めた国内にある全販売店の民間車検場など4852拠点について車検整備の法令が順守されているかなどを総点検した。

見回りの社員「なんとかしろ」

 書類を作るための検査になっていた――。「ネッツトヨタ愛知」の複数の関係者が朝日新聞の取材に応じ、作業の実態を証言した。

 「プラザ豊橋」で勤務経験がある男性によると、整備をひととおり終えた車を最終確認する「完成検査」で、こんなできごとがあった。

 速度計の誤差を測るため、検査員が機器に前輪を乗せ、アクセルを踏む。だが、タイヤが回らない。

 検査員は車から降りて異常を探り、同僚にも相談したが、原因が分からない。結局、基準におさまる架空の数値を指定整備記録簿に書き込んだ。

 四輪駆動の車などでは、全部のタイヤが回転する状態で測定しなければならない。だが手間がかかるため、同店ではこうした車の多くで速度計の検査を省いていたという。

 検査に必要な機器がほこりをかぶっているのを見て、店舗を見回りに来た運営会社の社員から「検査していないのが見え見えだから、なんとかしろ」と言われたこともあったという。

 「営業・販売優先の企業風土…

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