なぜ入管法改正案はSNSで広がったのか 安田菜津紀さんに聞いた
フォトジャーナリストの安田菜津紀さんに、昨年の入管法改正案を通して見えた、政治とSNSとのあり方について聞いた。
――入管法改正案を振り返り、SNSの力をどう感じましたか。
法案自体は複雑に見えますが、問われていたことはシンプルでした。国家や公権力が、人の命を線引きしていいのかという問いです。ツイッターではそれを問いかけるように心がけていました。
ウィシュマさんの死亡事件の直後はあまり報道も投稿もありませんでしたが、遺族が来日し、痛みが伴うけれども、自分の顔で名前で、声で発信しました。そのことがSNSの拡散の上でも大きかった。「入管」「外国人」という大きな主語が、「なになにさん」という血の通った人間の問題だということで迫ってきたのだと思います。
そんなことが起きていたの?と。この問題に声を上げたことがない人が、ちょっとリツイートしてみようかな、このニュースを拡散してみようかなと思ってくれた。人が亡くならなければ変わらないのだろうかと、もどかしくも思いますが、この1年近くで間口が広がったという感覚はありました。
――政治家にも影響を与えたという手応えはありましたか。
印象的だったのは「オールド」な手段を「ニュー」な手段で広める動きでした。どういうことかというと、朝日新聞が報じた記事で、与党幹部が検察庁法改正案の時と比べて事務所に届く抗議のファクスが少ないから大丈夫だと言っているというものがありました。すると、「ファクスって何か知ってる?」「コンビニからでも送れるよ」とツイッターで広がる。
ふだんはあまりSNSを見ないような政治家にも届く手段を獲得していく。その連鎖がとても興味深かったです。
――SNSなどで、うねりが生まれるきっかけは何でしょうか。
一人ひとりの市民の声が集ま…
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- 【視点】
朝日新聞が入管法改正案に関するツイッターの投稿を調べたところ、最も多くリツイートされていたアカウントは、安田さんだったことがわかりました。その安田さんに、なぜ入管法の問題がSNSで盛り上がったと思うのかを聞きました。 ツイッター分析の
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