「安い再エネは国際競争力につながる」 ソニーが国に迫った値下げ

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長崎潤一郎
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 再生可能エネルギー由来の電気を求める企業が増えている。国内外で強まる脱炭素への対応が遅れれば、取引先や投資家からそっぽを向かれ、ビジネスが立ちゆかなくなるおそれが出てきたからだ。

 2021年11月、あるオークションが企業関係者の注目を集めていた。取引されたのは、太陽光などの再生可能エネルギーの電気であることを示す証書だ。新たにできた「再エネ価値取引市場」。電力会社だけでなく、再エネを求める一般企業も初めて参加し、電気の量にして約19億キロワット時の証書が落札された。一般家庭約700万世帯の1カ月間の使用量に相当する。旧来の市場で取引された20年度分の4回の落札量(約15億キロワット時)を早くも上回った。

 再エネの電気は、火力や原子力の電気と一緒に送られる。企業や家庭が使う際には見分けがつかないが、証書を買った分は再エネの電気とみなされる。「再エネ100%」とアピールすることもできる。

 証書の取引は18年に始まったものの、利用は広がらなかった。最大の理由は価格の高さだ。1キロワット時あたりの最低価格(1・3円)は企業向けの電気料金の約1割にあたり、電気を多く使う企業には大きな負担だった。そこで経済産業省は、最低価格を0・3円に下げたうえで、電力会社以外の企業も参加できる新たな市場をつくった。21年11月の初のオークションでの価格は平均0・33円となり、これまでより安く再エネが手に入るようになった。

 背景には、企業側の強い要望があった。

 「合理的なコストで十分な再エネ電力を調達できることは、日本の製造業の国際競争力維持という観点で重要だ」。新たな市場ができる9カ月前の21年2月、再エネに関する規制緩和を話し合う政府の会議。ソニーグループの神戸司郎執行役専務は、国内の調達コストは海外の「10倍以上」と訴えた。

中国は再エネ100%達成 日本は「最も遅れている」 

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