国土交通省所管の「建設工事受注動態統計」をめぐる不正について、調査を進めていた統計の専門家や元検事ら第三者による検証委員会が14日、報告書をまとめて斉藤鉄夫国交相に提出した。先月下旬以降、過去の担当者らへの聞き取りなどを進めていた。

 委員長を務めた元大阪高検検事長の寺脇一峰弁護士は、国交省内で46ページの報告書を斉藤氏に手渡し、「今後の統計業務の信頼回復のため、再発防止策を進めて欲しい」と伝えた。斉藤氏は「検討、検証の場を早急に立ち上げるよう指示し、関係した職員の処分についてもできる限り速やかに行う」と述べた。

 報告書は書き換えの開始時期について、明確ではないとしながら、この統計調査が始まった2000年以前から継続して行われていたと認定。19年4月には担当部署の職員が受注実績の二重計上に気づいたが、部局内で矮小化を図り、「対応が適切だったとは言い難い」と指摘した。

 この問題では、建設業者が毎月受注実績を記し提出する調査票を、国交省が都道府県に指示して書き換えさせていた。2013年度からは受注実績の二重計上が生じ、集計が過大に。会計検査院から問題だとの指摘を受け、20年1月には都道府県に書き換えをやめるよう指示したが、以降は昨年3月まで本省職員が書き換え作業を続けていた。

 不正は昨年12月15日の朝日新聞の報道で発覚。同月の臨時国会で岸田文雄首相は「大変遺憾」とし、「統計は現在、未来の国民に対する政府の説明責任を果たすために重要なものであり、民主主義の根幹」だと述べた。斉藤氏が「不適切な処理があったことについておわび申し上げる」と陳謝、検証委が詳しい経緯や原因を1カ月以内にまとめるとしていた。