異常な値上がりはなぜ カニ加工会社はまさかの干し芋づくり

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藤田大道
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 冬の食卓を彩るカニが高騰している。海外での漁獲量が減る一方、アメリカや中国でカニの需要が高まり、日本に回って来なくなっているためだ。値が下がる見通しはなく、加工業者は収益を確保しようと他業種に進出し、カニ料理専門店は悲鳴を上げている。

 昨年12月中旬、茨城県ひたちなか市の冷凍カニ加工「大文字屋商店」の工場では、白い作業服姿の男女が、ロシア極東沖で捕れたタラバガニの脚の殻をむいていた。冷凍カニの殻を手作業でむき、パックに詰めて出荷する。首都圏のスーパーやホテルなどに、年間200~300トンほど卸す。

 しかし、今季は輸入の冷凍カニが高く、例年より仕入れが減った。数年前まで年末年始の書き入れ時には毎日30人以上が作業にあたっていたが、今は15人ほどに。川瀬一浩社長(60)は「今季のカニの高さは異常事態です」と話す。

 カニの価格が近年上がり続けていることもあり、5年ほど前から別の建物で、干し芋づくりにも挑戦している。「従業員の生活を支え続けるためにも、カニ以外に収益の柱をつくらないといけない」

 カニ料理専門店を全国展開する「札幌かに本家」(本部・名古屋市)の専務、小笠原輝幸さん(63)も「値段は昨季の倍近い」と話す。

 同社では昨年11月、メニューの価格を改定した。カニの値段は年々上がるため、2~3年に一度は見直し、これまでは5%以内の上げ幅に収めてきた。だが、今季の改定では、ゆでタラバガニの盛り合わせなど10%ほど上げたメニューもあるという。

 小笠原さんは「これ以上、仕入れ値が上がると困る。新型コロナの感染が落ち着いても、客が戻ってくるかが心配です」と気をもむ。

価格、ほぼ倍近くに

 カニはなぜ、これほどまでに高いのか。

 輸入カニの価格は、15年以…

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