能登半島で1年続く謎の地殻変動 3cm隆起した場所も、原因は水?

有料記事

山野拓郎
[PR]

 石川県能登地方で謎の地殻変動が1年続いている。3センチほど隆起した観測点があるほか、震度5弱など震度1以上の地震は70回を超えた。専門家は、地下から上昇してきた水が地殻を膨張させた可能性を指摘する。しかし、仮にそうだとして、その水はどこから来たのか。詳しい原因は不明なままだ。変動が終息に向かう兆候もなく、注視するしかないのが現状だ。

 「なぜ地震活動と地殻変動が続いているのか、明確な理由が分からない。我々が経験していないことが起きている可能性もある」

 2021年12月にあった地震調査委員会の会合後、能登地方の地震と地殻変動について記者から問われた平田直委員長は、専門家の間でも議論が続いている現状を明かした。

 国土地理院によると、能登半島の先端にある珠洲市では20年12月ごろから隆起が続き、これまでに3センチほど隆起した地点もあった。

 地震も増えている。金沢地方気象台によると、21年1月から今年1月末までに震度1以上の地震が76回発生。21年9月16日には震度5弱の地震も起きた。体に感じない揺れも含めたマグニチュード(M)1以上の地震は3千回以上を数える。

 京都大防災研究所付属地震予知研究センターの西村卓也准教授(測地学)は「ふつうは大きい地震のあとに余震が続き、発生数はだんだん減っていく。これだけ続くということは、地下に何らかの力がかかり続けていると考えないと説明がつかない」という。

 地下でいったい何が起こっているのか。京大と金沢大のGPS観測では、地殻変動が始まって以降、震源周辺の地下10~15キロの地殻が膨らんでいることが分かっている。何かが大量にたまっているらしい。西村さんは、この「何か」が水ではないかと考えている。

 水の供給源として考えられるのが、太平洋から日本列島の地下へ沈み込んでいる海洋プレートだ。

 プレートには、海底下にあった時に岩石の隙間に入り込んだ海水や、鉱物の構造の中に含まれる結晶水と呼ばれる水がある。こうした水の多くはプレートとともに地球の地下深くに入っていくが、地下250キロほどから何らかの原因で分離し、十数キロまで上昇した可能性が考えられるという。

 「地下に何かがたまっている…

この記事は有料記事です。残り392文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら