山田洋次監督が語る「幸福の黄色いハンカチ」もう日本で撮れない理由
今年で第45回となる日本アカデミー賞の最優秀作品賞のなかから、「今、見たい作品は?」と朝日新聞beモニターの皆さん1896人に昨年アンケートをしたところ、1位になったのは第1回受賞作「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」(1977年公開)でした。山田洋次監督(90)とヒロインを演じた倍賞千恵子さん(80)に名作にまつわる秘話を聞きました。2回にわたってインタビューをお届けします。
におうようないい男、健さん
――映画制作のきっかけは、倍賞千恵子さんから、ドーン(米国のポップスグループ)のヒット曲「幸せの黄色いリボン」の歌詞の内容を聞かれたことだそうですね。刑期を終えた男が、故郷の恋人に出した手紙について歌ったものです。
彼女にその話を聞いたとき、僕の頭の中にすーっと絵が浮かんだんです。一面の麦畑のはるか彼方(かなた)に1本の樹(き)があって、その樹には黄色い花がいっぱい咲いている。リボンの。このようにクライマックスシーンの映像が形になって浮かぶとき、映画はうまくいく場合が多いです。
――刑期を終えた主人公・勇…
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- 【視点】
山田監督に初めて出会ったのは、たしか12歳か13歳のころ。以降、大学入学、検事任官、初当選、息子の出産、人生の節目で折々にお会いして、そのたびに静かなエールをもらいました。ただ一度だけ、監督をとてもがっかりさせてしまった人生の選択があって、
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