第1回私は便利屋?ネット通販支える個人ドライバー 荷物は急増、報酬同じ
ネット通販の拡大と共に増え続ける宅配。消費者の元に届ける最後の「ラストワンマイル」の現場で、個人事業主のドライバーの存在感が高まっている。アマゾンなどの大手の下請け企業から仕事を請け負う形だが、その現場では様々なしわ寄せが。
その背景を探ると、数年前に業界を揺るがせたある出来事が影響していた。
車を止めて小走りの繰り返し
東京都内の閑静な住宅街。細い道路に一台の軽バンが止まった。
40代の男性ドライバーが後ろの荷室のドアを開ける。山積みの荷物のなかから、スマートフォンのアプリで表示された荷物のサイズを元に、段ボール箱を探す。
1分ほどで探し出すと、小走りで玄関前へ。インターホンを鳴らし、荷物を手渡す。直接手渡しせず玄関などに荷物を置く「置き配」であれば近くに置いて記録としてスマホで写真を撮影し、車に戻る。
数十から数百メートルごとに、この繰り返しだ。
「とにかく時間がない。運転は慎重にしなきゃいけないので、降りたら急がないと」
男性ドライバーの軽バンに積まれているのは、ネット流通大手「アマゾン」から請け負った配送の荷物だ。男性は個人事業主として、1次請けの運送会社と業務委託契約を結んでいる。
男性の私用のスマートフォンには、1~88までの番号が入った地図が表示されている。午前中に請け負った荷物66件、88個分を一番効率的に運ぶために、AIが出したルートだ。
この日は、配送システムが変わった直後だったため、比較的負担の軽い「当たりコース」で、午後便と合わせて荷物は1日で計151個、午後8時ごろに仕事を終えた。
最近は午前8時半に出勤し、荷物が多い日は夜10時半ごろまでの日が週1~2日。週5日、毎日12時間以上働く。
ますます増える宅配荷物。個人ドライバーの苦境には、数年前、業界に激震が走ったある出来事も影響しています。記事の後半では背景や問題点を探ります。
扱う荷物は急増したのに
以前は介護の仕事などをしていたが、職場内の人間関係の問題などでやめたのをきっかけに、4年ほど前からアマゾンの荷物の配送を担うようになった。
1日に扱う荷物の数は、この…
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