衛星とドローンの連携で孤立を救え 国東市で訓練

中島健
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 大分県国東市、市防災士連絡協議会、ドローン製造会社「ciRobotics(シーアイロボティクス)」の4者は11月30日、衛星安否確認サービス「Q―ANPI」とドローンを組み合わせた救援訓練を同市国見町でおこなった。災害で移動経路も電気や通信手段も途絶えた孤立地区にドローンで連絡手段を届け、救援物資の輸送や救助につなげる狙いがある。

 Q―ANPIは、内閣府が実証実験中のシステムで、準天頂衛星「みちびき」と通信できる端末にパソコンやスマートフォンを接続することで、携帯電話が通じない場所からも行政機関などと情報をやりとりできる。

 訓練は、南海トラフ巨大地震で、国道213号のトンネルが2カ所で崩落。その間にある同市国見町櫛来(くしく)地区が孤立、電気も通信も寸断されたと想定した。

 まず、Q―ANPI端末をロボティクスの大型ドローンで孤立地区に輸送。衛星を使って安否や必要な物資の情報をやりとりし、再びドローンで地区に物資を運んだ。参加した防災士は、最大30キロまで積載できるドローンの能力や、送信した情報が共有される範囲などを確かめていた。

 国東市によると、市には端末が20セット配備されていて、今後、避難所に備える計画だ。ただ、配備のない地区で災害が起きる可能性はある。市総務課の河村任防災係長は「半島の国東では、孤立に追い込まれる可能性が他の地域より高い。人口が減る状況を考えると先端技術を組み合わせて対応することは有効な手立てではないか」と訓練の意図を説明し、「電気も通信も使えないような災害では市役所が機能しているかも分からない。自力で情報を発信できる仕組みが一番だ」と話した。(中島健)

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