1人サウナ・書店・喫茶… 銭湯経営の若者、続々と挑戦

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小林直子
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 利用者の減少で年々姿を消している町の銭湯。コロナ禍での外出自粛が苦境に拍車をかける中、リニューアルが相次ぐ東京都内の銭湯では、新たな利用者を開拓する動きもある。ピンチをチャンスに変えようと工夫を重ねるのは、経営を引き継いだ「銭湯愛」の深い若者たちだ。

 天井まで伸びる巨大本棚が目を引くロビーで、放課後の女子小学生たちがおしゃべりしながらマンガを読んでいる。番台では高齢の男性が新聞を片手に湯上がりのビールを注文する――。東京浴場(東京都品川区)の夕方の一コマだ。

 昨年7月、廃業した銭湯などを再生するニコニコ温泉が運営を引き継ぎ、リニューアルオープンした。店長の相良政之さん(23)は「全世代に愛される銭湯をめざしている」と話す。

 「日本一お風呂好きな子どもだった」と相良さんは振り返る。福島県の実家にいた頃は浴室が自分の部屋代わり。好きな入浴剤を入れ、マンガや本を読みながら一日中湯船で過ごすこともあったほどだ。

 銭湯に出会ったのは高校卒業後、18歳でシステムエンジニアとして東京都内の企業に就職してからだ。寮の共同浴場で会社の先輩に会うのが気まずくて、銭湯に通うように。様々な銭湯を巡るうちに副業で銭湯ライターの仕事を始めた。取材で訪れた銭湯で、多くの経営者が「子どもや孫には継がせられない」と口にするのが気になった。「だったらお風呂好きの自分が銭湯をやりたい」という思いが膨らむなか、ニコニコ温泉が経営を引き継いだ都内の別の銭湯でアルバイトを始めたことが縁で同社に転職。東京浴場のリニューアルを任された。

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