星野源さん×上間陽子さん対談 沖縄の人々の思いや沈黙に気づいた
沖縄で若年出産した未成年の少女たちの調査・支援を続ける琉球大学教授の上間(うえま)陽子さんが、沖縄の人々の言葉に表せない思いを、自身の日常とからめながらつづったエッセー『海をあげる』が、11月に、「Yahoo!ニュース|本屋大賞 2021年ノンフィクション本大賞」を受賞しました。音楽家・俳優・文筆家の星野源さんは、受賞以前にこの本を読み、自身のラジオ番組で感想を話していました。来年1月にエッセー『いのちの車窓から』文庫版を刊行する星野さんと、上間さんに、お互いの本について、語っていただきました。
――『海をあげる』は、娘や家族との何げないやりとりとともに、10代で出産した少女たちのこと、基地の騒音、土砂が投入された辺野古の海のことなどがつづられている。〈生活者たちは、沈黙している〉〈切実な話題は、切実すぎて口にすることができなくなる〉。沈黙させられている人たちの声にじっと耳を傾け、ごく普通の日常の視点から、沖縄の苦悩を浮かび上がらせる。
星野 評論家の荻上(おぎうえ)チキさんと、僕の担当編集者の2人から、たまたま同じタイミングで『海をあげる』を薦めてもらったのがきっかけでした。前作である『裸足で逃げる』も一緒に購入して読んだんです。僕は20代前半に、東京・中野の沖縄居酒屋でアルバイトをしていたり、仲良くなる人がたまたま沖縄出身の人が多かったりして、勝手に沖縄に縁を感じていたんですが、上間さんの本を読んで、知らなかった沖縄の様々な側面や、生活している人々の想(おも)い、そして沈黙やその理由も知ることができました。
上間 そう言っていただき、ありがとうございます。
星野 ちょうど、「不思議」という楽曲を作っていた時で、それが、都会的な若者の恋愛ドラマの主題歌だったんですね。この本を読んでからは、キラキラした都会だけに響く歌ではなくて、本に登場するような沖縄の夜の街や人にも響くにはどうしたらいいんだろう、と考えながら制作するようになりました。
上間 星野さんがオールナイトニッポンでそう話されたこと、沖縄のマスコミで大きく取り上げられたんですよ。沖縄は暗いことばかりなので、みんなが喜ぶ顔を久しぶりにみました。大学のゼミの卒業生や院生たちがすごかったですね。「一日中、星野さんの曲を聞いてた」とかたいへんな騒ぎでした。
星野 それはよかった……あ…
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- 【視点】
沖縄という地域のありようの奥行きを感じ取れる対談だと思います。行政学・地方自治という専門領域から各地を訪問し、いろいろな土地の話を聞き取りますが、そのたびに「どこまでこの地域のことが分かったのだろうか」と考えさせられます。地方紙を読んだり、
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