バラマキよりも「アニマル・スピリット」を 財政審が建議で主張

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榊原謙
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 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は3日、財政健全化を求める「建議」をまとめ、鈴木俊一財務相に提出した。建議では、財政再建目標の凍結論に警鐘を鳴らす一方、過度な財政出動は民間企業の活力をそぐとも指摘。英国の経済学者ケインズが経済成長に必要だとした「民間のアニマル・スピリット」が失われるとして、歳出圧力を強める与党を牽制(けんせい)した。

 政府は、2025年度に新たな借金に頼らずに政策経費をまかなう基礎的財政収支プライマリーバランス=PB)の黒字化を達成するとしている。建議ではこの目標について、「凍結といった方針変更を行うことなく、財政健全化に向けて着実に歳出・歳入両面から改革を進めるべきだ」とした。自民党の一部にある「PB目標凍結論」を意識したものだ。

 ケインズが唱えた「アニマル・スピリット」とは、リスクをとって積極的に事業展開していく起業家精神のようなもの。ケインズは不況時には政府が積極的にお金を使って需要をつくりだすことが重要だとしたが、長期的な経済成長には民間のアニマル・スピリット(血気)が欠かせないとした。

 建議では、このケインズの考えを引き、「安易な財政支出で公的資金への依存を招いて、民間の自主的なリスクテイクの意欲を失わせてはならない」と訴えた。財政支出は「大胆な規制改革とセット」で行うべきだとし、「企業や家計の有する資金を最大限活用していく必要がある」と指摘。ケインズの言葉を取り上げたのは、建議の起草委員の一人で、長年ケインズを研究してきた吉川洋立正大学長のアイデアだったという。

 財政審は毎年、翌年度の予算…

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