医療・福祉は減少、情報通信は増加 コロナ禍で明暗分かれる平均給与

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中川透
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 長年伸び悩みが続き、コロナ禍でさらに落ち込んだ日本人の給与。打撃の大きさは業種によって大きく違い、2008年秋に起きたリーマン危機時と比べると、下落の要因が異なる。その実態が最新データでわかってきた。

 国税庁「民間給与実態統計調査」によると、昨年の1人あたり年間平均給与は433万円(男性532万円、女性293万円)。前年と比べて0・8%減で、2年続けて落ち込んだ。給与総額の内訳の賞与が65万円と前年比8・1%も減り、リーマン・ショック(危機)後の09年の13・2%減以来の急落となった。

 コロナ禍が給与に与えた影響は業種で大きく違う。

雇用への影響は二極化、景気悪いのに人手不足も

 図表「平均給与が上がった業種と下がった業種」をみると、宿泊・飲食サービスが前年比3・2%減の251万円とほかの業種より大きく下落。図中の円の大きさはその業種の給与所得者の数で、医療・福祉(709万人)や卸売り・小売り(837万人)など働き手の多いほかの業種も軒並み減った。一方で、情報通信や金融・保険など前年より伸びた業種もある。

 「コロナ禍による経済や雇用への影響は二極化している。人手の不足や過剰も業種によって分かれ、景気が悪いのに人手不足といった状況が起きている」。SMBC日興証券シニアエコノミストの宮前耕也氏は今の雇用情勢についてそう話す。最新の10月の有効求人倍率は1・15倍で、昨年9~10月の1・04倍を底に緩やかな回復傾向だ。倍率が1を超えると、仕事を求める人数(求職者)より会社からの求人数が多い状態。リーマン危機後の09年8月には0・42倍と1を大きく割っていた。

 給与の水準は今後どうなるの…

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