タダでもらった米軍装甲車、出動は年数回 持て余す警察

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ウィンチェスター=望月洋嗣
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 20年に及んだ対テロ戦争が終わり、行き場を失った米軍の兵器や装備が米国の警察などに無料で譲渡されている。激戦地を想定してつくられた装備の一部は、無用の長物と化している。維持費がかさむことや、警察の軍事化を助長することに懸念の声も出ている。(ウィンチェスター=望月洋嗣)

大雪の日の通報 急行した保安官

 バージニア州ウィンチェスターは首都ワシントンから車で1時間半。のどかな草原地帯にあるフレデリック郡保安官事務所の裏手に、5トントラックほどの大きさの特殊装甲車MRAPがとめられていた。

 保安官のレニー・ミルホランドさんと、運用の担当者の案内でさっそく乗り込む。けたたましいエンジン音とともに走り出すが、動きは鈍い。駐車場を1周すると、車体が大きいせいで、曲がり角では何度も切り返しが必要だった。

 MRAPは、イラクアフガニスタンで主に米兵の移動に使われた。特徴は装甲の分厚さだ。IEDと呼ばれる仕掛け爆弾で攻撃されても、乗車している米兵の負傷を最小限にとどめることができる。装甲板が分厚く、機関銃などの武器を取り付ける部分もあるため、車体は13トンと重く、最高スピードが時速100キロ程度しか出ない。

 保安官によれば、管内面積は1千平方キロ余りと、東京都の半分ほどの広さだが、森林や農地が多く人口は約8万8千人。殺人事件は年間1件程度と治安はとてもよい。そんな平和な町に、最前線で活用された軍用車両を導入した理由は「積雪」だという。「この辺りは多いときは積雪が1メートルにも達する。道が雪で閉ざされたとき、とても頼りになる」

 記録的な大雪が降った201…

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