1年4カ月ぶりの観音像に住民は泣いた 豪雨に襲われた「隠れ里」

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東谷晃平
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 険しい山に囲まれた盆地を、急流・球磨(くま)川が貫く。

 「相良(さがら)700年」といわれるほど長く相良氏の統治が続き、独自の文化が色濃く残る熊本県の人吉・球磨地方。司馬遼太郎が「日本でもっとも豊かな隠れ里」と評した地を昨年7月、豪雨が襲った。

 球磨川があふれ、球磨村で25人、人吉市で20人など多くの人が亡くなった。

 氾濫(はんらん)の3日後。

 人吉市に隣接する山江村で歴史民俗資料館の館長を務める大平和明(72)は、被災地一帯を車で走り回った。=文中は敬称を略します

近年、文化財の被災が増えています。文化財は国や自治体が指定するものだけではありません。「レスキュー」に取り組む人たちの現場を訪ねました。

 球磨川の橋げたに、木彫りの仏像が草木と一緒に引っかかっていた。「こんなところにも」。水がひいた河原の木にも。川沿いに多数あったお堂の一部は、跡形もなく流されていた。

 「このあたりは集落に一つ以上のお堂や神社があるのが当たり前。そこには仏神像があります」

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 「隠れ里」には、貴重な文化…

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