【21年九州場所10日目】白鵬もできなかった 照ノ富士が挑む偉業
横綱照ノ富士が10連勝。大関貴景勝に土がついたため、単独首位に立った。再入幕の阿炎が1敗を守ったが、関脇御嶽海は宝富士に屈して2敗に後退。平幕の玉鷲、宇良、北勝富士が勝ち越した。大関正代が6勝目。貴景勝に勝った関脇明生は星を五分に戻した。
注目の取組・力士を特集する「東西トーザイ」、八角理事長がその日の相撲を語る「理事長が見た!」、力士らの取組後の声を届ける「支度部屋から」など…デジタル限定のコンテンツを含めた記事や、豊富な写真を連日報じていきます。
(東西トーザイ)死角はあるのか照ノ富士 漂う綱の風格 10日目で単独トップ
ともに先頭を走ってきた大関が目の前で敗れた。勝てば単独トップに立つ結びの一番。照ノ富士は落ち着きはらっていた。
立ち合いで左前まわしを与えたが、すかさず豊昇龍の両腕を抱える。左右に体をよじらせたり、足をかけたりして抵抗する相手を、じっくり俵の外へ運んだ。
看板力士の「連敗」は許されない。祝日に詰めかけた観客を、がっかりさせるような相撲は取らなかった。
「落ち着いて取れたんで、良かったなと思います」。取組後の取材に、いつもの口ぶりで淡々と対応した照ノ富士。貴景勝との直接対決を残しているとはいえ、6度目の優勝へ有利な立場になったのは間違いない。
今年に入り、ここまで3度賜杯(しはい)を抱いてきた。横綱として2場所目ながら、土俵上の姿は、もう何場所も綱を張ってきたような風格が漂う。年間の勝利はこの日で72勝目。2014年の横綱白鵬(81勝)以来の70勝台に乗せ、同年以来となる年間優勝4度(白鵬は5度)も見えてきた。
その優勝には、白鵬も達成していない大記録がかかる。優勝制度ができた1909(明治42)年以降、新横綱の場所から連続優勝したのは4人。15日制が定着した49年夏場所以降に限れば、62年初場所の大鵬、ただ一人だ。
59年ぶりの快挙に向けた、残り5日間。照ノ富士を止められる力士はいるのか――。死角は見当たらないように思える。(松本龍三郎)
連勝の大関に土
貴景勝の連勝が止まった。明生を攻め込みながら、いなしに体が泳いで形勢逆転。悪癖の引きが出たところを、押し出された。前日の取組後に古傷の右ひざを気にするそぶりを見せていたが、「(影響は)ないです」。首位の照ノ富士との対戦を残す終盤戦へ向け、「またしっかり準備するだけ」と短く話した。
(支度部屋から)ついに連勝止まった王鵬、貴景勝撃破の明生、恩返し誓う玉鷲、平常心の阿炎、…
○天空海(6勝4敗) 柔道経験者。「内股」に似た掛け投げを前日に幕内で決め、師匠の立浪親方(元小結旭豊)からLINEが来たという。「『気持ち良かった?』って。へへへ」
○玉鷲(8勝2敗) 右ののど…
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